2024/11/18 23:23

わが国に本部を置く唯一の国連条約機関、国際熱帯木材機関(ITTO)の役割とは?

国際人

わが国に本部を置く唯一の国連条約機関、国際熱帯木材機関(ITTO)の役割とは?

国際熱帯木材機関(ITTO)は、熱帯森林資源の前途に対する世界的な懸念の高まりを背景に、国際連合(UN)によって、わが国に本部を置く唯一の国連条約機関として1986年に設立された。

熱帯諸国では森林の乱伐や破壊が加速しており、世界中の人々が危機感を募らせている。その一方、熱帯諸国の経済発展に熱帯木材の貿易が欠かせないことも無視できない。このように相反する利害をどのように調整させるのか、これがITTOに課せられた課題である。

ITTOの誕生は、1976年にまでさかのぼることができる。この年に、国連貿易開発会議(UNCTAD)の第4セッションで、国際熱帯木材協定(ITTA)に向けた討議が開始された。この討議は、国連の一次産品総合計画の一環として位置づけられていた。長年の討議を経た結果、1983年に、国際熱帯木材協定(ITTA)が締結された。ITTAは1994年に改定され、その後も引き続き、検討が加えられている。2006年にはさらなる改定と2008年の実施が予定されている。

 国際熱帯木材協定(ITTA)に向けて本格的な討議が始まった1980年代の初頭は、熱帯雨林の前途に対する懸念が強まり、国際社会の行動が求められていた。しかし、その当時は、熱帯雨林の保全と貿易に対してほぼ同じ程度の重点が置かれていた。この事情は、ITTAの前文に反映されている。すなわち、森林資源の持続的な管理を前提として、熱帯木材の貿易が盛んになれば、地域の持続的な開発も可能になるという理念である。具体的には、森林破壊を防止しながら、貴重な外貨の獲得や雇用の確保への道が拓けるという考えである。

 実際に施行されたITTAは、従来の商品協定とは異なるもになった。この協定には、熱帯木材貿易の促進と森林の保全に同じ比重が置かれていた。これは、1987年に提出された「ブルントランド報告(Brundtland Report)」や1992年の「地球サミット」より前の話である。いずれにしても、貿易も環境保全も同じ比重で重視されていた。2006年版ITTAでは、これまでの合意事項を踏まえて、世界の熱帯木材の経済状況や森林資源の持続的管理を重視しながら、熱帯木材の貿易の促進と森林管理の向上の両方を同時に追及することになる。さらに、熱帯木材だけではなく熱帯木材以外の木材に関する貿易データを含めた情報の共有も目指す。

 

ITTOの行動予定については、「ITTO Action Plan 2008-2011」を参照してください。
http://www.itto.int/ja/sustainable_forest_management/

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