『多文化家族支援法』について考える no.3
さて,最初の回で、韓国で施行されている「多文化家族支援法」について,次のように言及致しました。
『この支援法の対象となるのは 韓国人との結婚移民の家族であり、 韓国の外国人政策やその立法化については「非正規滞在の移住労働者を除き、正規の滞在者のみを対象としている。」ということになります。
そのため、「韓国人との婚姻者のみを対象とし、外国籍同士の婚姻者を対象としていない」「韓国の家父長主義的な文化の下で社会統合を進めようとしている」などと批判を受けたり、実際それが問題点として取り上げられたりもしているようです。
しかしながら、在住外国人を対象とした人権を保護する法律も条例もなく、外国人の規制と管理しか行われていない、ましてや国際結婚をした家庭とその子供達の状況について等国のどこでも把握していない日本と比べると、はるかに進んでいると言えます。』
私達が日本に於ける同法を考えて行くときに、現在韓国で取り上げられているこの法律に関しての問題点を当然考慮する必要があります。
最近の韓国では「この法律は逆差別だ」と韓国人同士のカップルたちから批判がでるほどに、ある意味多文化家族は手厚く支援されています。何しろ国際結婚としての最も大きな関門とも言える言語教育の問題を国がバックアップしているのですから,これほどありがたいことはありません。その無料の「韓国語教室」や「伝統文化教室」などに加えて、日本の市町村にあたる自治体から,イベントへの招待があったり,今回の東北大震災の時には東北出身の日本人妻のいる家庭にはお見舞金が贈呈されたりしています。
我々日本の多文化家庭からしてみると夢のようなうらやましい話しです。この法律の何が問題か?というのです。
それで,上に上げられていた批判の1つ
「韓国の家父長主義的な文化の下で社会統合を進めようとしている」
と言う点を良く見てみようと思います。
「無料の韓国語教室」も「無料の伝統文化教室」も韓国という国で韓国人として生きて行くためにはとても大切な事です。ですから,「誇り高き韓国民」を育てるために言語や伝統など,外国人の親ができない教育を国がお金を出して行っていると言う、当然すぎるほど理にかなった美しい法律なのです。
しかし、これを批判する人たちに言わせると,「これは外国人を韓国人に育てて社会統合をするための法律であり,多文化を認めるための法律ではない。」というわけです。ですから,自分の生まれた国に誇りを持ち、自分の子供には韓国語の文化とともに、自分の出身国の言語や文化も持ち続けてほしいと思っている外国人の親にとってみれば、「これが本当に多文化支援なのか?」という事になってしまうのです。
さて,第二回目にあたる、先回のお話の中で,『移民国家』『純血国家』という分類を紹介しました。『純血国家』である韓国にしてみれば,この政策は当然と言えば当然の対応法であるのです。
ここで,私は上の二つの分類の中に更に『多文化共生国家』という考え方を提案して行く必要があると思います。これは『純血国家』が考える多文化家庭支援と『多文化共生国家』が考える多文化家庭支援とでは、自ずとその目指す所が変わってくるはずだからです。
国の成合(なりあい)を『多文化共生国家』という観点において,この日本の将来を考える事が可能なのか?またそれは今後少子高齢化が怪訝される日本の将来にとって必要とされてくる必然の道なのか?
今後の熱い議論が期待されます。
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