オーストラリアから見た日本
オーストラリアから見た日本
豪日関係は戦後以降、貿易・防衛・文化などのあらゆる面で緊密に結び付いており、ますます強まっている。また、現在の流動的な国際情勢から考えると、この関係が一層重要になってくるだろう。しかし、両国の一般人レベルでは豪日関係が両国でどう見られているだろうか。この記事では、オーストラリア人の日本に対するイメージについて考えてみたい。
日本の外務省は、定期的に「豪州における対日世論調査」を発表している。最近の調査を見ると、様々な興味深いことが指摘されている。まず、最新の調査によると、約5割の人は豪日関係が非常に良好、又は良好と回答したことがわかる。その一方、日本は信頼できるかという質問に対して、6割が「いいえ」、2割が「はい」と回答し,前回調査の回答から逆転したことがわかる(これは、調査が実施された当時の捕鯨問題の激化に起因しているかもしれない)。
日本のイメージについては,「伝統と文化の香り高い国」,「経済力と先進技術の国」,「平和友好国」という回答が多かった。また、日本人の性格に関しては,「伝統的・教養がある」、「勤勉」、「知的」、「礼儀正しい」、「能率的」などの回答が特徴だった。
こういった意見やイメージは自分の個人的な経験からもよく感じるし、日本人のなかでも上記と同じように考える人は少なくないだろう。しかし、このような意見はあまりにも一般的だし、詳細な知識に基づいたものではないと言っていいだろう。
こういった意見は全部誤解だといっているのではない。しかし、外国に対するイメージは、どのように形成されているかが最も重要である。大多数のオーストラリア人は日本に関する情報をテレビ・ラジオから受けている。これは、日本に対するイメージ構築へのメディアの強い影響力や、それに伴う重い責任を示す。日本の場合も似ていると考えていいだろう。豪日関係はよく「熟した結婚」に例えられている。インターネットの活用、在日記者クラブの外国人特派員へのより広い開放など様々な策によって一般人に、包括的かつ詳細な「日本像」を伝える必要がある。
日本メディアの開放や日本からの情報発信が今後もっと重要になって来るであろう。
ランス・トロング Monash Univ.
モナッシュ大学・ジャーナリズム専攻・名古屋大学研究生