2024/12/22 11:28

『日本人の証明』を出版して no.2  東條英利氏連載コラム NO.11

国際人

 

『日本人の証明』を出版して  NO.2

 最近、私は、自著「日本人の証明」の発売にあわせ、精力的に講演活動を展開してまいりました。これも、一人でも多くの方に日本人としての基礎教養力を高めて頂きたいという一心で続けてきたわけですが、おかげさまで、各地域の反応もよく、地方における講演活動も順当に増え続けてまいりました。

そんな中、実は、先月、私の講演活動の中で、少々、趣の異なる講演がありました。それが、香港から三週間という期間限定で来日された、日本語を学ぶ短期留学生を対象とした日本文化セミナーです。

私も、今まで外国の方に、こうした日本の文化的背景のお話をしたことがありましたが、それも日本人が数多くいる中での、少数を前にした場合のみです。聴講者全員が海外の方というパターンは、私の今までの講演活動には、中々みられなかったものであります。これには、言葉の壁も含めて、この感覚的感性の強い日本人像に、海外の方がどれだけ理解を示めすのかが分からなかったというものもあります。しかし、実際やってみると、その反応は、日本人以上に積極的で、また、好意的なものであるということが分かります。

例えば、講演終了後の質疑応答。通常、日本人の間では、中々、こうした場では質問が起こりにくいものではありますが、彼らは積極的に私に質問をしてきてくれました。それも、中々に鋭い質問ばかり。例えば、「神社の参道では、真ん中を歩いてはいけないと聞きますが、それは何故ですか?」とか、「鳥居が赤い色をしているのに、何か理由があるのですか?」などなど。先ず、何故、そんなことまで知っているのかという驚きもありましたが、日本人からすれば、一見、当たり前と思うようなことばかり。しかし、その意味を私たちの多くが知っているか?と言われれば、そこには多少の疑問符がついてしまいます。しかし、そこを疑問に持つかどうかというのは非常に大事なことで、私も逆に、皆様に説明する際は、この当たり前と思うことの脱却から始めます。

実は、すべての物事には意味があります。しかし、それも当然のことと思っているだけでは、その物事の本質的理解は求められません。外国の方との異文化交流とは相手を知る以前に、自分の文化に対する無理解の気付きから始まる。そんな感覚すら覚えます。私たちは今一度、自分たちの持つ意味が何であるのか、疑問を持つ必要があるのではないでしょうか。

(神社人運営者 株式会社カルチャージ代表 東條英利 )


東條英利氏・・1972年生まれ埼玉県出身、株式會社カルチャージ代表取締役。東條英機の直系曾孫にて、第18代目当主。日本独自の社会公益事業モデルを 模索し、神社並びに神道の存在に着目。神社を通じたカルチャー・ツーリズムを提唱し、新たな地域コミュニティと文化エンターテイメントの再生を目指してい る。

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