『日本人の証明』を出版して 東條英利氏連載コラム NO.10
『日本人の証明』を出版して 東條英利氏連載コラム NO.10
目下、拙著「日本人の証明」の発売を機に全国で講演活動に準ずる日々。ありがたいことに、実に、多くの反響が寄せられているのですが、そんな反響を通じて実感するのが、やはり、わが国の文化伝承力は明らかに低下しているということ。例えば、私の講義に高い関心を示す層に、その一端を垣間みることができます。それが、地方の三代目くらいの若手経営者です。彼らは、とりわけ、私が主張する教養の意味、意義について、高い関心を示してくれます。もちろん、理由は、色々とあるのかもしれませんが、ひとつ挙げられる点としては、やはり、彼らも家業や家督を継承する立場にあるということです。というのも、彼らの多くは、家業や家督を継承並びに、世襲する立場にあるものの、名前以上の意味や本質的役割について、ほとんどと言っていい程、理解していないからです。それが、自身が親という立場になればなおさらで、実際、子供に何を伝えていけばいいのか分からず、漠然たる不安感に苛まれることも少なくないようです。
しかも、この三代目という立場は、創業者の仕事を直接見て来た訳ではないので、創業期の意志、イデオロギーというものを直に感じられる環境になかったことも、こうした不安感に拍車をかけていると言えるかもしれません。それは、私自身も同様で、私も「東條」という名を継承したものの、当初、その意味が分からず、漠然たるコンプレックスをその身にまとっておりました。ただ、私の場合、この名がかなりの異彩を放つことによって、希有な環境に育ったということ。そして、海外駐在を始めとした自己のアイデンティティに開眼できる状況にいたことは、幸いだったのかもしれません。結果として、この経験が、そうした層の方たちに強く支持を集めるようになりました。
以前、出版者の方と打合せをしていた時にも、企業の後継者が育たないことが、深刻な社会問題を引き起こすとの話題を集めておりました。私たちは、実は、かけがえもないことを失いつつあるのかもしれません。是非、身の回りのことに意識を払ってみて下さい。何か、見えてくる部分があるかもしれません。
(神社人運営者 株式会社カルチャージ代表 東條英利 )
東條英利氏・・1972年生まれ埼玉県出身、株式會社カルチャージ代表取締役。東條英機の直系曾孫にて、第18代目当主。日本独自の社会公益事業モデルを 模索し、神社並びに神道の存在に着目。神社を通じたカルチャー・ツーリズムを提唱し、新たな地域コミュニティと文化エンターテイメントの再生を目指してい る。
グローバルコミュニティー インタビュー 日本文化の根源は神社にあり
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