日本のお盆について
神社人カルチャーセミナー NO.5
日本のお盆について
8月は多くの方にとっても、盆休みといった形で、実家に帰省される方も多いかと思いますが、実際、この盆行事に対する理解はどの程度ありますでしょうか。多分、多くの方が、先祖供養と墓参りといった理解とその心象から盆行事は、完全な仏教行事かと思っている方が大半かと思います。
でも、元々、この先祖供養という発想は、仏教とは無関係なんですね。何故なら、仏教とは、本来、お釈迦様の教えを説いたものであり、元々、人が輪廻から解脱する悟りの境地、ある意味、自己の生き方を示したものであって、先祖供養とは無縁のものになるからです。それでは、何故、日本の盆行事は、仏教として認知されるようになったのでしょうか。
実は、この先祖供養という発想は、神道の祖霊祭祀というご先祖さまを祀る行為に始まっております。神道が唯一教義として上げる「敬神崇祖(けいしんすうそ)」という考えも、すべての神さまとご祖先さまに尊崇の念を抱きましょうという、まさにご先祖さまを尊ぶ考えを示したものになるのです。
確かに、盆行事の「盆」という言葉は、仏教の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」という仏教行事に基づきます。しかし、当初の盂蘭盆会とは、今のような先祖供養ではなく、僧侶供養が中心であったと言われているのです。
それが、江戸時代に入ると、幕府は、檀家制度を施行し、国民は、寺院の檀家に登録しなければ、旅行をすることも就職することも許しませんでした。そんな仏教中心社会が形成される中で、幕府は、先祖供養までも仏式で行うよう強要していったのです。そうした過程の中で、神道の祖霊祭祀と仏教の盂蘭盆会が習合し、現在のご先祖さまを供養するというスタイルが確立されていったんですね。そうです、この盆行事、先祖供養という発想は、実は、我が国が独自発展させた、まさに神仏混合スタイルというわけなんですね。ですので、実は、先祖供養がすべての仏教国で行われているわけではないんですね。
(神社人運営者 株式会社カルチャージ代表 東條英利 )
東條英利氏・・1972年生まれ埼玉県出身、株式會社カルチャージ代表取締役。東條英機の直系曾孫にて、第18代目当主。日本独自の社会公益事業モデルを 模索し、神社並びに神道の存在に着目。神社を通じたカルチャー・ツーリズムを提唱し、新たな地域コミュニティと文化エンターテイメントの再生を目指してい る。
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