2024/12/20 03:41

多文化な出産 スコットランドにて

みんなの生活
スコットランドにて  -異文化の中での不安―
藤原ゆかりさん

多文化医療サービス研究会(RASC)の共同代表

http://www.rasc.jp/
 
先日、スコットランドのグラスゴーで開催された学会に参加してきました。
日本人はみかけない場所らしいですが、日本人サッカー選手の活躍で日本びいきの人が増えたようです。
ただ、いくら日本びいきの人が増えても、言葉や文化の壁は強く感じられました。
今回は出産のお話ではなく、現地で私自身が感じた「異文化の中での不安」についてお話します。

今回の旅の最大のトラブルは、スーツケースが届かなかったことです。
スコティッシュイングリッシュは難しく、手続きでは大切なことが正しく伝わったかどうかがわからなく、心配でした。
さらに、かなり淡々とした事務的な対応だけでは不安を一層強くし、悲しい気持ちにさえなりました。
結局、情報とは全く異なった2日後の真夜中にスーツケースは届きましたが、それまではとても不安な時間を過ごしました。
これは単なる言語の問題ではなく、何度確認してもその都度情報が変わったり対応が冷淡だったりということが、日本の対応とは大きく違うと感じ、苛立ちさえ覚えました。

でもたった一人だけ、「荷物が無いのは本当に大変なことですよね。
早く手元に届くようにしますから」と言ってくれた人がいました。
状況は全く変わっていませんでしたが、私の気持ちはかなり落ち着き、一気に解決に向かった気持ちにさえなりました。

言語的にお互いに充分理解しあっていなくても、気にかけていることが伝わってくることは大切です。
たとえ困難な状況が変っていなくても、その人の不安は軽減されるのです。
そして、そのことがとても大切であると改めて感じました。
これはどんな場所や場面でも言えることですよね。
困っているときほど助け合う、それが日本人でも外国人でも同じようにできる日本社会でありたいものです。