2024/11/21 22:34

多文化な出産7 イタリア人女性の場合

みんなの生活
多文化出産77
イタリア人
-何重にも重なる壁-
出産はどの女性にとっても、喜びとともに不安や心配がある複雑な状況であることは、これまででもお話させていただきました。しかし、外国人女性の場合はさらに困難な状況にあります。




あるイタリア人の女性がいっていました。「わたしはイタリア語の出産関係の本をたくさん読んで、自分なりに勉強した。でも日本語や日本のことまでも一緒に勉強するのはすごく大変・・。」

多くの女性は、妊娠してから出産や育児に関することを学習します。それは自分の身体や気持ちの変化や未知なる体験への準備としての予備知識が必要になるからです。外国人女性の場合は、それ以外に、言葉、文化や習慣、病院や保険のシステムなどの知識も必要です。しかし、その大変さに較べて、支援は日本人女性よりも少ないのが現状です。



 日本語の育児書で使われている表現と実際の病院での表現にも違いがあります。
例えば、書籍には「母乳」と記載されていますが、病院の中では「おっぱいでてますか?」と聞くことが多いです。また「オムツとオシメ」など。私たち日本人は口語と文語を感覚で使い分けますが、外国人にはそれはとても難しく、特に出産や育児に関する言葉は特殊であるため、出産の知識や育児技術の習得を一層難しくしています。



このように、外国人女性の持つ越えなければならない壁は幾重にも重なり、日本での出産をより困難にしています。これらの壁を少しでも低くする支援ができると、外国人女性が安心して出産ができるのではないでしょうか?物質の供給や法律の整備だけでなく、支援とは、ひとりひとりができることをできる範囲で行うことが大切です。まずは相手の立場に立った言葉の選択や話し方などのコミュニケーション方法を配慮するだけでも十分な支援となります。当然のことと思うかもしれませんが、意識して行うことは重要なことです。すべての女性が安心して安全な出産や育児のできる協力や支援のできる社会でありたいものですね。
 
 

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