「モッタイナイ」の精神に立ち返ろう!!
神社人カルチャーセミナー NO.4
「モッタイナイ」の精神に立ち返ろう!!
ここ数年で最も世界的に浸透した日本語の一つに「モッタイナイ」という言葉があります。多分、殆んどの日本人が何度も耳にしてきた言葉ではありますが、実は、これ、日本人特有の発想と言われます。欧米で、「Mottainai」という単語が誕生したのも、ある意味、欧米にそういった発想がなかったことに始まります。
往古、日本には、「甕(もたい)」という名字があったと言います。これは、当初、「酒を入れる器」を意味し、次第に、この器を作る専門職たちを、「甕(もたい)」と呼ぶようになったと言います。酒は、今も昔も、神さまに供える大事な捧げものの一つで、酒の器も当然のことながら、欠かすことは許されません。この為、「酒の器が不足する」ことは、神に対する非礼、不届きな行いであるとされ、その時に生まれたのが、「甕(もたい)ない=神さまに失礼である」という考えと聞きます。
この由来の真偽は、はっきりとは分かりませんが、少なくとも、神道には、万物の中すべてにおいて、神霊を拝するという考えがありました(依り代という考え方)。これは、ある意味、偶像崇拝を求めた海外宗教との大きな違いの一つとなりますが、往古では、多くの日本人は、森羅万象全てに対し、畏敬の念を感じていたのです。その思想観の根底にある部分が、この「モッタイナイ」という発想に大きく影響していることは間違いないと言われています。
中には、これを「勿体ない」と書く場合もありますが、これは、和製漢語「勿体」がないという意味で使用されます。この時の「勿体」とは、「重々しさ」や「威厳」を表すため、「自分には不相応なものである」という意味で使われます。このため、厳密には、この本来の「モッタイナイ」という言葉の響きとは、少々意味が異なるのですが、日本人が、自らの立場をわきまえ、相手を尊重する考えは、こうした言葉の節々から同様に感じ取ることができます。日本人は、世界的にもユニークな存在なんです。
(神社人運営者 株式会社カルチャージ代表 東條英利 )
東條英利氏・・1972年生まれ埼玉県出身、株式會社カルチャージ代表取締役。東條英機の直系曾孫にて、第18代目当主。日本独自の社会公益事業モデルを 模索し、神社並びに神道の存在に着目。神社を通じたカルチャー・ツーリズムを提唱し、新たな地域コミュニティと文化エンターテイメントの再生を目指してい る。
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