AIの時代の外国語の大切さと日本のブラジル『大阪』

AIの時代の外国語の大切さと日本のブラジル『大阪』
「第13回ポルトガルスピーチコンテスト」が、2025年2月16日(日)開催されました。
大阪・サンパウロ姉妹都市協会主催で、世界に開かれた国際都市・大阪、その次代を担う高校生以上35歳までの方を対象に、「第13回ポルトガル語スピーチコンテスト」が開催されました。
2月16日の最終選考には、6名の方が東京や横浜からも参加されていました。
なんと、この大会の優秀者の1名は、2025年8月頃に、『民間外交官』としてブラジル・サンパウロ市へ約2週間派遣されるという大きな特典がついています。
開催場所は、TB-SQUARE osaka(大阪市中央区島之内2-13-22)タカラベルモント株式会社の素晴らしいデザインのショールールで開催されました。
参加者は、医学生、語学を生かして、通訳や日本語教師を目指す大学生、カポレイア(ブラジル発祥の格闘技)を極めようと研鑽する女性などがとってもユニークな発表を行いました。13回目を迎えたこのコンテストも、年々レベルが上がり、審査員代表の大阪大学の林田名誉教授からも、『今年のスピーチコンテストは本当にレベルが高く,審査委員長として評価冥利に尽きました』という言葉がありました。
大阪サンパウロ姉妹都市交流協会賞受賞 新里大介さん(東京外国語大学4年)の想い
AI がこんなに優れた翻訳をする時代に言語を学ぶ必要あるのか?
「語学を学ぶ価値は今でもあると確信しています」と新里さんは力強く語ります。AIによる翻訳技術が進歩し、
英語が国際共通語となっている現代において、他言語を学ぶ必要性に疑問を感じる人も多いでしょう。
しかし、新里さんは4年間の大学生活と10ヶ月の海外経験を通じて、語学学習の重要性を再認識したといいます。
「言語を学ぶことで、分析力が養われます」と新里さん。日々様々な情報に囲まれる中で、
原文を理解できることは情報の信憑性を判断する上で極めて重要だと指摘します。
「ニュースの翻訳一つで意味が変わることもあります。フェイクニュースが蔓延する現代では、
これは非常に重要なスキルです」
さらに、新里さんは外国語でのコミュニケーション能力の重要性も強調します。
「海外生活で自分の意見をしっかりと述べることは議論する上でも、外国語の力が必ず必要になります」
日本文化への理解を深める
新里さんが最も伝えたかったのは、自国の文化理解の重要性です。
「海外での生活を通じて、自分の国の文化をしっかり理解することの大切さを実感しました」
本当に意味での、交渉や契約また、心からのつながりを実感するコミュニケーションには、言語の理解は必須です。
また、観光ガイドの経験も持つ新里さんは、「外国語で自国の文化を海外の人に伝えることは、
語学を専門とする私たちの使命の一つだと思います」と熱く語ります。
「外国語を学び、外国文化を理解しながらも、自国の文化としっかり向き合い、
日本人としての素養も高めていきたい」という新里さんの言葉には、
グローバル化時代における語学学習の新たな意義が感じられます。
将来は通訳者を目指すという新里さん。「その上でも、教養として自国のことを語れる自分になりたい」と、
語学学習を通じた幅広い視野の獲得を目指していると、この大会に優勝して自信を深めたようでした。
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大阪市長賞受賞 臼井萌奈さん(昭和医科大学4年)の想い
「自分を愛するということ」―大阪人とブラジル人の共通点を探る
横浜在住の萌奈さんは、大阪に住むおばあちゃんの温かい目線に守られながら、大阪人とブラジル人の共通点を探り、ブラジルでの生活の魅力を語ってくれました。
「あなたは自分のことが好きですか?」この質問に、多くの日本人は「冗談やめてよ、そんなわけないよ」
と答えるかもしれません。しかし、萌奈さんは高校時代の留学経験を通じて、ブラジルでは「自分大好き」
という人が多いことに気づいたといいます。「実は、大阪でも同じような思いをしたことがあります」と萌奈さん。
「大阪の人たちはとても生活を楽しんでいて、知らない人との会話も楽しみます。自分のことが好きなんだと思います」
萌奈さんは、自分を愛することは自己中心的であることとは違うと強調します。
「自分のことが好きであるからこそ、他人に対しても愛情深くなれるのだと思います」
自分を愛し、他人を愛する文化
萌奈さんは、ブラジルと大阪の心を深く愛し、尊敬していると語ります。
「もっと多くの人が彼らのようになって欲しいと思います。自分を愛し、
他人を愛する文化を横浜にも広げていきたいですね」と表情豊かに語っていました。
高校1年生の時の10か月の留学経験は、萌奈さんの性格形成に大きな影響を与えたそうです。
その経験を通じて、人生を楽しみ、他人に嫉妬せず、家族のように他人を思いやることの大切さを学んだといいます。
萌奈さんの言葉には、ブラジルと大阪の文化から学んだ、自己肯定感と他者への思いやりが感じられましたね。
この「自分を愛し、他人を愛する」という姿勢は、現代の日本社会にも必要とされているのかもしれませんね。
将来は医学の道に進む萌奈さんは、『お大事に』より『ご自愛ください』という言葉を患者さんに伝えるようにしたいと話していました。
他の参加者も、ブラジル留学の体験者が多く、とても熱心に自分の想いを伝えていて、素晴らしい大会でした。
また、懇親会では、カポイエラの実演を、浜松から参加した、松江河音さんが披露して、交流を盛り上げていました。
今後とも、この東京からの参加者があるような貴重なスピーチ大会がどんどん、盛んになっていくことを願っております。