授業の中で悟った母の想い スタントメソッドを学んで NO.18
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授業の中で悟った母の想い スタントメソッドを学んで NO.18
李麗媛(リリエン)さん 中国
リエンさんは、スタント教授のクラスのシラバスに惹かれ、モチベーションのクラスを取る。自分と同じく一留学生として、日本で苦学し、4つの博士号を取得、教授になった人の言葉には重みがあった。
その中でも、彼女の心を開いたのは、スタント教授の義理の母親への対応だ。
まともに食事も与えず、愛情もかけない仕打ちはさぞ耐え難い苦しみだったと思う。
しかし、教授は大人になって自活出来るようになると、その義理の母に、食べ物を送ったり優しい言葉をかけたりしている。どうして、そんな気持ちになれるのであろうか?
幼少から母親と確執があった彼女は、それが如何に大変な事かがよく理解出来た。
『憎しみからは何も生まれない』母親を受け入れる気持ちを持とう。
そう決心すると不思議と気分が明るくなり、誰とでも打ち解けて話も出来るようになった。幼少から勉強のために母親と離れた生活が長かった。その影響で、母の考えなども
受け入れづらくなっていた。しかし、スタント教授のように虐待されたわけではない。
以前のインタビューでも気になっていたことだが、スタント教授は、特別な宗教教育や
人格を高めるトレーニングを受けたわけではないのにどうして、絶望のふちにおいても希望を失わず、生活を続ける事ができたのか?その答えをスタント教授はこう語った。
『私の子供時代はあまりに悲惨すぎて、他人に愛情を求めることが出来ませんでした。ただ、自然の中で遊び、生きていることに感謝するしか自分の存在意義を見出せなかったのです。しかし、子供たちに勉強を教えるうちに人に感謝される喜びを感じるようになりました。愛情は『人に先に与える』ことによって『与えられる』のです。厳しい家庭環境のお陰でそのことに気がつくことが出来ました。そしてその『先に与える愛情』には限りがありません。なぜなら、いつか必ずその気持ちが相手に伝わることを何度も経験して知っているからです。教師として教えた学生が成長していく姿を見ることほど幸せなことはありません。
私は、一人ひとりの学生がそれぞれの物語の主人公だと思っています。自分を好きになって自分らしい人生を送ってほしい。そのためには中途半端はだめです。多くの学生が涙を流すほど私の授業は厳しいので有名ですが、私は一人ひとりの学生に自分の夢を絶対にあきらめさせません。彼らの夢は私の夢でもありますから。
一見やる気のない学生ですら、本来はすばらしい潜在能力を秘めています。私たち教育者には、彼らの隠れた本心と真剣に向かい合って、命がけで授業に取り組む姿勢が必要です。そうすれば必ず彼らは、本当の自分を取り戻し、自分自身の夢と向かい合い、自分の物語を作っていくようになります。人に作られたのではないオリジナルの人生を生きるようになります。そしてそれは大きな自信につながり、自分をどんどん好きになり、やがて人にも優しくなります。 』
リエンさんもこの言葉を胸にこれからも、『愛を与える』自分を心がけ、
将来は彼女の夢であった教師の職に就いて欲しいと思う。